ネタバレなし。
推理小説のネタをばらすほど野暮ではない。
↓わたしが読んだのはこれ。大久保訳である。将棋のチャンピオンなどが出てくるのであるが、本当はチェスかなにかではないだろうか? ウルグアイの表記も、ウルグヮイなどとなっていてちょっと読みにくい。
1930年代のアメリカの雰囲気が味わえる。
シャーロックホームズにしろ金田一耕助にしろ、推理小説の探偵は一癖も二癖もあるものであるが、ドルリー・レーンはぶっちぎりだ。もともとが俳優と言うこともあり、台詞がいちいち舞台口調なのである。そして、シェイクスピアの引用をしまくるという、実際にいたら相当辟易する人間であることは間違いない。
また、サム警部もキャラが立っている。まるで江戸時代の奉行所のノリである。この時代はアメリカもまだお上意識が強かったと思われる。
この作品は本格推理小説である。この時代に特に流行った。この時代は推理小説にとっていい時代だったかも知れない。DNA鑑定もなければ、監視カメラもない。しかし、指紋とか検死とかはある。
最初の30ページくらいは、字も小さいし、登場人物もいっぺんに出てきてわけわからないし、読むのがかったるかったのであるが、殺人事件が起きてからグイグイ引き込まれ、最後まで読んでしまった。
普段推理小説を読まない人にも充分おすすめできる作品である。