今週のお題「クリスマス」
わたしには毎年サンタがやってくる。「そのサンタはパパ」という歌の歌詞があるが、わたしの場合、そのサンタはわたし自身である。つまり、わたしの別人格がサンタなのである。サンタは冷徹にわたしへのプレゼントを見繕う。というのも、なんでも欲しいものをプレゼントしてしまうと、わたしの生活が立ちゆかなくなることを知っているからである。
子どもの頃からサンタは謎めいた、まか不思議な存在であったが、大人になって、そして自分がサンタクロースとなり自らと対話するに至って、より不思議な存在と相化したわけである。
さて、今週のお題はもらって嬉しかったプレゼント等、というお題であった。わたしはサンタになにをもらっても嬉しかった。朝目が覚めると枕元にプレゼントが置いてあることが心を高鳴らせた。
まだわたしがサンタになる前の話である。
あるクリスマス、わたしはエアーソフトガンをサンタに注文していた。すると、枕元にエアーガンとおぼしき長方形の箱が置かれていた。重みもかなりあり、「こりゃヘビーウェイト仕様のガスガンに相違ない!」と包みを破いてみると、なんと中から辞書が現れた。
目を疑った。張り裂けそうだった期待が音を立てて萎んでいくのがわかった。わたしはその辞書を本棚にしまいそっとしておいた。
だが、わたしでないサンタがわたしによこしたプレゼントで、今唯一残って、しかもたまに使用しているプレゼントはこの辞書だけである。
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