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泥の河 を読んだ 宮本輝 感想 レビュー

 

螢川・泥の河 (新潮文庫)

螢川・泥の河 (新潮文庫)

 

 

泥の河は宮本輝太宰治賞を獲ったデビュー作である。

螢川は芥川賞作品。

 

泥の河は大阪の川沿いに住む少年が主人公である。そこに、曲輪船、と名付けられた売春船に乗った親子がやってくる。

 

主人公の少年は、曲輪船の少年とその姉と仲良くなる。しかし、母親は売春をしている。すごい設定を作ったものである。しかも、その売春している母親に、主人公は惹かれるのである。

 

作品の中でも美しく描かれている。ちなみに、映画化されたときのキャストは加賀まりこだ。そこまで美しくするのはどうかと思うが。

 

とにかく、物語り世界に引き込まれる。純文学のパワーがひしひしと伝わってくる作品である。物語のすじとしては、単に少年と少年が一緒に遊んで祭りに行って金を落とすだけである。それだけなのに、読んでいてはらはらどきどきがとまらない。

 

近年、こういう作風で引き込まれる作品にはあまりお目にかかれない。120枚くらいの中編なので、あっという間に読める。お勧めである。

 

 

泥の河

泥の河