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田山花袋の蒲団を読んだ 感想 レビュー

 

蒲団

蒲団

 

 

自然主義文学の代表のようにいわれている作品である。だが、もし、なにも予備知識なしでこの作品を読んだらどのように感じるだろうか。とくに、なにも変なものは感じず、純粋に面白い小説だと思うのではなかろうか。多分、この作品は好き嫌いなく、たいていの人が面白いと感じると思う。
 
教科書にも載っている? 有名な作品であるからあらすじはご存じかも知れない。小説家である主人公のもとに、若くて美しい女が入門してくる。小説家は妻帯者でありながらその女にべた惚れするのであるが、師であるべく振る舞おうとすれば、なかなか距離を埋めることが出来ない。師である立場を捨てるか、それとも、あくまで師として振る舞い世間体を守るか、煩悶につぐ煩悶になやまされる。そうこうしているうちに女には男が出来てしまって……。
 
と先生の胸の内を説明しながら物語は進むのであるが、その筆致は実に滑稽、かつ、同情を誘うように書かれている。もはや古典であり、タイトルも「蒲団」だし、作者名も田山花袋、と堅苦しい外見であるが、中身は単なる恋愛諧謔小説、所謂ラブコメに他ならない。読めば、この作品がどうしてバカ受けしたのかは容易に理解できる。
 

 

蒲団・一兵卒 (岩波文庫)

蒲団・一兵卒 (岩波文庫)