社会は権威と権力によって成り立っている。権力とは三権と言われる国家権力で有り、日本での権威は天皇である。
わたしは日本の統治の妙は権力と権威を分けたところであると考えている。
古代はともかく、それ以降は権力と権威は分離した。権力は摂政だったり上皇だったり将軍だったり軍部だったり霞ヶ関だったりが掌握したが、権威はつねに天皇にあった。就中、明治から今日までの権威は天皇以外にはあり得ない。
さらに、明治以降の天皇の役割は、キリスト教的な唯一絶対の権威が付与されたと考える。
紛らわしいのであえて「今上天皇」という言葉は使わない。
さて、来月には天皇御退位となり、令和天皇が誕生するわけである。さて、この場合、すんなりと権威が令和天皇に集中するだろうか? われわれ国民は少なからず平成天皇に親近感を抱いている。この場合、権威として国民に認識されるのは令和天皇か、それとも平成天皇か。権威の並列は可能なのか。
もし仮に、令和天皇と平成天皇のご意見が異なったりした場合、われわれはどちらを是とすれば良いのであろうか。
今後、われわれは少なくともここ150年は経験したことの無い権威の分散した日本で生きることとなる。それがどのようなことになるのか、さらに平和な日本が訪れるのか。

権威と権力――いうことをきかせる原理・きく原理 (岩波新書 青版 C-36)
- 作者: なだいなだ
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