以前、橘曙覧の独楽吟を紹介した。
かな書 楽しみは湯沸かし湯沸かし埋火を中にさしおきて人と語るとき - 文学・文具・文化 趣味に死す!
その独楽吟のなかに、以下のような歌がある。
たのしみは雪降るよさり酒の糟あぶりて食ひて火にあたる時
「よさり」とは夜になった頃の意味。
歌の意味は、いちいち説明するまでもないかもしれないが、
「雪の降る夜は酒粕を炙って食べて火鉢に当たる。幸せだなぁ」
というわけで、酒粕を炙って食ってみた。
本当に炙って食うだけである。
どのレシピを見ても、炙るだけ、焼くだけ、であった。
最初はフォークに刺して炙ったが、そのうち面倒臭くなってフライパンで焼いた。
塩、醤油、砂糖醤油などで試してみたが、
「ぜんぜん楽しくなかった」
炙るだけなので、失敗したわけでもないだろうが、全く美味くない。
たのしみは雪降るよさり酒の糟あぶりて食ひて火にあたる時
なるほど。火鉢がないからダメだったのだ。火鉢があれば、楽しかったかもしれない。