最近、またクラシック回帰ということか、スリーピースが流行っている。
本来スーツはジャケット、トラウザーズ、ベスト、これを共生地でつくるスリーピース、三つ揃えが本式である。そのスリーピースが流行っているのは歓迎すべきことなのかもしれないが、スリーピースを着ているのに少しもエレガントじゃない人が少なくない。
まず、スーツの思想にベルトは不要だと言うことである。ベルトは上下を分断してしまう。本来トラウザーズはブレイシーズ(サスペンダー)で吊すものであってベルトで縛るものではない。
だから、本式のトラウザーズにはベルトループは付いていない。
スーツは、上から下まで、生地が流れるようであってはじめてエレガントなのである。
だが、最近のスーツはベルトを締めることを前提に作られており、股上も浅く、腹ではなく腰で履くようになっている。まず、この時点でエレガントではない。その、エレガントでない股上が浅い腰履きのトラウザーズにベストを着たらどうなるか。
ちまたのスリーピースだけれどもエレガントでない着こなしはいわゆるこんな感じである。
ベストの下からベルトがのぞいている。酷いものになるとネクタイが飛び出ていたりもする。
正しい、というか、普通に着れば以下の通りだ。
もし、クラシックのスーツを嗜好してスリーピースを着ようと思ったら、股上の浅いトラウザーズは完全にNGである。最近は吊しでもスリーピースが売られている。盲目的に買うのはやめた方がいい。最近のトレンドのトラウザーズとベストの相性がすこぶる悪いということは覚えていた方がいい。
もし、オーダーでスリーピースを注文するなら、絶対にベストの下からベルトが出ないように、股上を深めに注文すべし。
スリーピース、ただ着ればいいというわけではない。