日本文学100年の名作第8巻1984-1993 薄情くじら (新潮文庫)
- 作者: 池内紀,松田哲夫,川本三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/03/28
- メディア: 文庫
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↑両方ともこれに入っている。
出口 尾辻克彦
この作品をどう評すればなやむ。出口とは肛門のことで、うんこが漏れそうな、否、うんこがもれそうで、耐えて耐えて、結局漏らす話である。
筆者は、この年齢になるまでうんこを漏らしたことがないらしく、相当ショックらしいが、べつに結構みんな普通にブリブリ漏らしているので、そんなにセンセーショナルな作品ではない。
あと、主人公は固いうんこを漏らしたらしいが、普通漏らすのは下痢である。軟便である。その当たりにも感情移入できぬ問題がある。ただ、この作品をこのように真面目に評していいものかどうか、その時点で作者の思うつぼのような気もしないではない。
掌のなかの海 開高健
開高健はモンブラン149の開高モデルで有名なので名前は知っていたが、作品を読むのは初めてである。
文章はべらぼうに上手い。文章の見本のような文章だ。とくに美しさとか、なまめかしさとかはないが、読みやすいし、簡潔だし、少ない文字数の中に情報量が多い。
本作品はエッセイのような感じだ。創作との境目がわからない。主人公が酒場に通っていると、そこに面白い年寄りがいる、という話である。身寄りのない年寄りの悲哀が伝わってくる。