第159回芥川賞にノミネートされている松尾氏の作品が、文學界5月号に載っていたので読んだ。
女の尻に鉄球が食い込む、という実にくだらない(氏の作品は基本的にくだらない)話であるが面白い。コメディ小説である。コメディ小説に無粋な説明を加えて読者の楽しみを奪うようなことはするまい。
ただ、複数人の登場人物の視点から、場面場面の展開の仕方、実に見事だ。十枚ほどの短編だが、短編で笑わすにはどうしたらいいのか、計算し尽くされている。
文學界5月号は、これと、第123回文學界新人賞の講評が載っているので買って損はしないと思う。
松尾スズキ氏のアルアルだと思うが、わたしも松尾スズキ氏の作品を買おうと、本屋でサ行を探してしまった。