幽霊に連れて行かれそうになる話。それを姉が助ける。祭りの情景が描かれているが、それ以上でもなければそれ以下でもない。
これも宵山万華鏡という連作短編のなかの一つ。だから、これ単体で面白いかつまらないかを評価するのは無理だし、正確な評価は下せない。ルックスライクにしろ、なぜ、わざわざ連作のなかの一遍を収録しているのかがわからない。連続短編のなかの一遍を載せるというのは、長編小説の一章を載せるのと同じようなものだ。
新潮社的には宣伝のつもりで載せているのかも知れないが、知らないで読んでしまえば、つまらなかった、中途半端、という印象しか残らず、逆宣伝になりかねない。ぜひ11巻ではこの点を改めて頂きたい。
くどいようだが、これも連続短編の一つ。しかし、これはつながりが緩いので、単独としても面白く、完結している。
どら息子、ならぬどら娘に転がり込まれた老人が、金をせびる娘に対し、娘の再教育のために、金を盗まれるという狂言を演じる。その狂言を耳が聞こえない孫娘が見ている、という設定。
駄目娘っぷりが遺憾なく描かれていて、しかし、老人にして見れば一人娘、いかに駄目でもかわいさが滲む。そんなところがハートフルな作品。
↓両方ともこれに収められている。
日本文学100年の名作第10巻 2004-2013 バタフライ和文タイプ事務所 (新潮文庫)
- 作者: 池内紀,松田哲夫,川本三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/05/28
- メディア: 文庫
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