↑表題作他、七編が収められている。
不祥事を起こした女教師が、数年後、旅先で小説家に不祥事の顛末を語って聴かせる、という形式をとっている。
小学校の女教師なのであるが、このクラスの女子のヒエラルキーなど、おぞろおぞろしく書かれている。すこしミステリー要素も含まれていて、引っ張る力はつよい。ただ、純文学であるので、ミステリー的要素は結論が出ない。
子供の世界は一見無邪気に映るが、こうやって詳細にあぶり出していくと、ルール無用な点、大人の世界よりも陰鬱である。子供という本来無垢なキャラクターを使っているところに、深みというか、恐ろしげなトーンを上手く表現している。
いつもの通りこれに収録されている.↓
日本文学100年の名作第10巻 2004-2013 バタフライ和文タイプ事務所 (新潮文庫)
- 作者: 池内紀,松田哲夫,川本三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/05/28
- メディア: 文庫
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