↑これに収録されている。
誘拐された八歳の女の子が、誘拐犯と心を通わせるという話。荒唐無稽であるが、この設定の魅力はたしかにある。この誘拐犯とは、世間秩序から逸脱した存在であり、その逸脱した存在を理解することにより、自らが社会の枠から脱し、ある種の非凡さに浸ることができる。
八歳の女の子がこれほどまでにませているかはともかく、だれにでもこういった成り行きによる逸脱というのは憧れの対象であろう。
誘拐されたあとに現れる警察や母親。これらが社会的存在であるならば、女の子と文蔵は文学的存在である。
↓こっちにも収録されていて、これで読んだ。
日本文学100年の名作第10巻 2004-2013 バタフライ和文タイプ事務所 (新潮文庫)
- 作者: 池内紀,松田哲夫,川本三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/05/28
- メディア: 文庫
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