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道化師の蝶 を読んだ

道化師の蝶 (講談社文庫)

道化師の蝶 (講談社文庫)

 

 

難解な作品である。芥川賞である。円上氏の作品はこういう作風のものが多いらしい。ただ、難解な割に読み進めてしまう。その瞬間瞬間は面白いし、おぼろげながら話のつながりもわからないことはない。

ただ、おすすめするのは躊躇する。もしこの作品を、円上氏の名も芥川賞のおまけもナシに読めと渡されたら、言葉のセンスには感嘆するだろうが、支離滅裂と最後まで読み終えないだろうからだ。

小説は文字から空間と時間を想像して読む。この作品は空間はかろうじてわかるのである。時間がわからないのだ。いつの話なのか、先ほどの文章からどのくらい時間が経っているのか。時間がわからない分空間もあやふやとなり、一体だれがなにをしているのか、その辺も判然としない。

こういう作風の作品はよくある。いわゆる小説版現代アート、実験芸術のようなものだと理解すればいいのかもしれない。