某おじいさんの講演を聴いた。七十後半のおじいさんは、「人生八十年と思って生きてきたが、もう終わりつつある」という。
「会場には20代の若い諸君がいる。自分も20代のころはあと60年人生があると思っていた。でも、実際に残っているのはあと数年だ。60年、いろいろなことがあったが過ぎ去ってみれば一瞬。自分は悔いのない人生を送ろうと思い生きてきた」
というような話をしていた。
さて、悔いのない人生は送れたのだろうか? わたしは前にも書いたように、悔いのない人生を送るのは不可能だと考えている。どのような人生を送っても、結局は満たされなかった選択肢が残り、悔いが発生すると考えている。
講演が終わったあと、直接お話しする機会があったので疑問をぶつけてみた。
「先生、わたしは悔いのない人生を送ることは難しいと考えているのですが、果たして悔いのない人生を送れるでしょうか?」
先生曰く。
「あなたは自分のために生きようとしています。人のために生きることが大切です」
素直に、なるほどと思った次第である。