2022-01-01から1年間の記事一覧
不道徳教育講座 大坂志郎 Amazon 三島の不道徳教育講座は面白い。それを映画化するというのだから、一体どんなものだろうと興味を持った。 しかし、三島の作品とこれは全然違う。三島の作品にヒントを得て作ったくらいのものだ。 映画は一本、シナリオが通っ…
バクラウ 地図から消された村(字幕版) ソニア・ブラガ Amazon 宮台真司がべた褒めしていた映画。 なるほど、たしかに地域の繋がりはある。法でなく、掟でいきるというのも分かる。 面白いかつまらないか、と問われれば面白い。が、なにかが引っかかるのであ…
眼球達磨式 作者:澤大知 河出書房新社 Amazon 文藝賞受賞作品。私は文藝の方で読んだ。 これは視点が新しい、という。というのも、小型ラジコンの魚眼レンズ越しに見る世界を描く。視点が、人間ではなく機械なのだ。 その機械が置物の猿などと友達となり……。…
行き止まりの世界に生まれて(字幕版) キアー・ジョンソン Amazon アメリカの低所得、低学歴の青年たちのドキュメンタリー映画。 撮影している監督自身も、継父から暴力を振るわれて大変だったらしい。 日本とは文化的に大分違うので、日本人はそれほど共感…
教育 作者:遠野遥 河出書房新社 Amazon 芥川賞受賞後第一作、というので、最近の芥川賞作家を思い浮かべるも、誰だか分からず。ググると、ちょっと前の人だった。 わたしは受賞作、破局も読んでいる。 yoshinori-hoshi.hatenadiary.jp 今回の作品の主人公も…
蜩ノ記 岡田准一 Amazon yoshinori-hoshi.hatenadiary.jp ↑前に小説を読んでレビューしている。 前回の散り椿に引き続き、葉室作品の映画化。 やはり、小説と映画では印象がかなり変わっていた。小説の方はもっとミステリー的な話だった気がしたが、映画は「…
散り椿 岡田准一 Amazon 葉室麟の原作だという。 原作だと、人情話とか、恋愛とかいろいろ絡んで、文学なのだろうが、映画はちょっと文学になりきれていない。かといって、エンターテイメントにもなりきれていない。 じゃあつまらないか、といえばそんなこと…
河瀬直美監督の東大入学式での祝辞、国際政治学者から批判相次ぐ。「侵略戦争を悪と言えない大学なんて必要ない」(ハフポスト日本版) - Yahoo!ニュース このニュースは常々わたしが問題に感じていることの分かりやすい例である。 侵略戦争を侵略戦争と断定…
王の運命-歴史を変えた八日間-(字幕版) ソン・ガンホ Amazon 意外に面白かった。 父親と息子の確執というか、感情のもつれが良く現れている。 フィクションではなく、実在の人物らしい。 さらには続編がある。 続編も見てみたい。 ただ、ちょっと息子がア…
ルーブルは紙くず同然。 ロシア軍敗北。 ロシア崩壊。 んな噂を聞いたので為替を見てみたら、 紙くずどころか元に戻ってるやん。 むしろ、円のほうが危機的状況ではないか??? ロシア関係のプロパガンダは全くワクチンプロパガンダと同じ。 あの大統領には…
時間離脱者(字幕版) イ・ジヌク Amazon タイトルは時間離脱者であるが、このタイムリープ作品では、人間そのものは時間を移動しないのである。ただ、夢という形で、過去の人間の行状を知ることができるという設定。 だから、時間離脱者というタイトルはち…
アーカイヴ(吹替版) テオ・ジェームズ Amazon ネタバレあり事故で死んだ妻の意識をロボットに移そうとする男の話。どこか辻褄が合わないのだが、実際は死んだのは男の方で、男こそがアーカイブの中で存在している。舞台が山梨でミョウチクリンな日本語が散見…
文藝 2020年冬季号 河出書房新社 Amazon 女子高生の物語。どうしてこうもリアルに恥ずかしげもなく女子高生や高校を表現出来るのだろうかと感心した。作者は本当の女子高生だった。 高校生活が懐かしくなってしまう作品。ちょっと寝る前に数ページ読もうと思…
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) 作者:カズオ・イシグロ,土屋 政雄 早川書房 Amazon 言わずと知れたノーベル文学賞作家の代表作である。 ネタバレあり 内容はありふれた臓器提供用クローン人間の話なのだが、描写が半端ない。とことん、描写を読者にぶ…
ロシア・プーチンのウクライナへの出兵は以下のような理屈であると聞いた。 もともと、ウクライナ東部にはロシア語を話し、ロシア正教を信じるロシア人が住んでいた。 それが1917年のロシア革命のどさくさで、ウクライナ人民共和国が成立して、ロシア人が住…
news.yahoo.co.jp わたしは前回の投稿で ロシアを擁護するつもりはないが八十年前の日本の戦争を思い出してしまう。 - 文学・文具・文化 趣味に死す! 西側の連中は大東亜戦争時の日本と同様に、今回のロシアを見ている、と書いた。 ゼレンスキーの連邦議会…
ロシアを擁護するつもりはないが八十年前の日本の戦争を思い出してしまう。 わたしは大東亜戦争は日本の自衛戦争であり、アジアの植民地解放のための妥当な行動であると考えている。現在、世論はロシアけしからん、ぶっ潰せ、ウクライナ可哀想、がんばれ戦え…
母の待つ里 作者:浅田次郎 新潮社 Amazon 浅田次郎の新刊を新品で定価で買った。単行本を定価で買ったのはいつ以来だろうか。出版不況を自分で感じてしまった。 あらすじは、カード会社の新サービス、ふるさとをあなたへ、という、架空の故郷と母親が用意さ…
ウクライナでドンパチが始まった。 さて、日本の9条で本当に平和が保たれるのであろうか。 わたしは、9条は文言と現実が乖離しているので、その乖離をなくすべきだ、と思っていた。 具体的には、自衛隊の存在を認めるなら、陸海空の戦力の保持を認める。 戦…
オール讀物2021年11月号 (第101回オール讀物新人賞発表) 文藝春秋 Amazon 第101回の受賞作である。101回からオール讀物新人賞は歴史物限定となった。 受賞作はミステリーなのでネタバレしてしまうとつまらない。ネタがわからない程度に感想を書く。(果たし…
THE GUILTY/ギルティ(字幕版) ヤコブ・セーダーグレン Amazon 低予算映画というのは山のようにあれど、これほど低予算に徹している映画にこれまでお目にかかったことがない。 後半どんでん返しがあって、その話をすると映画がつまらなくなってしまうので控…
文學界(2021年5月号) 文藝春秋 Amazon 芥川賞候補作のschoolgirlがよかったので、文學界新人賞の悪い音楽を読んでみた。 つまらない作品ではなかったが、schoolgirlのようなパンチはなかった。 話のネタと言うよりも、文章にパンチがない。次々打撃を食らわ…
浅田次郎ファンである。新刊を買おうと思っているのに、次から次へとネタバレにあってしまう(T-T) このラジオでもネタバレかなぁ、と思って聞いていたが、出演者もわかっているのか、確信には触れなかった。でも作品の空気が伝わってくる。 浅田次郎はメモを…
世界史の針が巻き戻るとき 「新しい実在論」は世界をどう見ているか (PHP新書) 作者:マルクス・ガブリエル PHP研究所 Amazon この本で面白かったのが「優しい独裁国家・日本」という部分である。 ガブリエルは、日本文化は非常に発達している。電車のスケジ…
世界史の針が巻き戻るとき 「新しい実在論」は世界をどう見ているか (PHP新書) 作者:マルクス・ガブリエル PHP研究所 Amazon ドイツ人哲学者ということだ。 新しい実在論がなんだかはよくわからなかったが、欧米がコロナで狂っている理由はなんとなくわかっ…
第166回芥川賞を受賞したのはブラックボックスだった。 ブラックボックス 作者:砂川文次 講談社 Amazon この人の「小隊」は大好きな作品なので、これから素晴らしい作品を書いてくれることを大いに期待したい。 しかし、選考委員とここまで嗜好が乖離してい…
今回の芥川賞は三つどもえだ。それも、かなり高いレベルでの三つどもえ。今までにないくらい楽しませてもらった。 では、さっそく、受賞予想! その前に、過去の戦績。第164回は受賞順位を以下のように付けて見事に外した。 コンジュジ>小隊>推し、燃ゆ>…
Schoolgirl (文春e-book) 作者:九段 理江 文藝春秋 Amazon 即席でつくったんだろうけど、この表紙はなんか変だ。 ものすごい勢いの作品。怒濤のように言葉が押し寄せてくる。 掛け値無しで面白い作品だった。 あらすじは、一人娘を育てる母親の話。娘はグレ…
我が友、スミス 作者:石田 夏穂 集英社 Amazon タイトルからしてイカしている。わが友ヒットラーのオマージュか? わが友ヒットラー (1968年) Amazon スミスとは一体何者か、と思うが、答えは筋トレマシーン。 筋トレ小説である。 ただ、大会までの道のりを…
閃光少女 Our Shining Days(字幕版) シュイ・ルー Amazon 香港の映画らしい。 伝統音楽部と西欧音楽部がいがみ合っていて音楽対決する話。 そもそも、中国人は伝統音楽を軽くみているのであろうか? 文革の影響だろうか? あらすじ。 伝統音楽部は西欧音楽部…