1981年に上梓されている。四宝ということで、このほかにも、硯、墨、紙の話がある。
硯も読んだのだが、特段言及するほどのこともなく、大して面白いとも思わなかった。
が、筆は面白い。莫山先生の筆に対する熱は半端ない。まず、空海が如何に筆に拘ったか、という所から入り、莫山先生所有の筆が次々に紹介される。
鶴だ孔雀だ豚だの、あげくは竹だの草だの人毛だのと、普段使われない筆が紹介され、作品が一緒に載っている。想像するだけで楽しい。
四十年前の話になるが、中国の筆事情も載っている。莫山先生はちょうど文革の前後を体験しているので、その比較も面白い。
とくに写巻の話は興味深かった。これはまた後日語りたいと思う。