超大雑把にあらすじを書くと、ある日庭に馬が迷い込んでくる、という話。犬や猫が迷い込んでくるかのように馬が迷い込んでくる。
主人公はWEB英会話の講師ような感じで、WEB謎々の出題者をやっている。その通信先は宇宙だったり、政府によって監禁されている政治犯だったり。
さらに、主人公が遊びに行っている資料館というのは、元新興宗教の教祖が作ったなぞの資料館。
この壮大な設定がどう活かされるのかと思いきや、設定として提示されるだけで話の筋にはほとんど関係ない。
幻想小説という訳でもないのだが、ちょっとリアリティが掴めない。
具体的にいうと、馬を盗み出すシーン。ワイヤーカッターで柵を破って、馬に麻酔を飲ませてリアカーでひいていく。その後、ガマに隠す。乗馬の練習をする。
その他にもよくわからないシーンの山盛りである。
頭に結構なページを使って背景の説明をする。幻想小説ならば、このような説明は要らないと思うのであるが。
幻想小説と見せかけて普通の小説? 普通の小説と見せかけて幻想小説? 実験小説であることは間違いない。
前作の
高山羽根子 カム・ギャザー・ラウンド・ピープル 感想 レビュー - 文学・文具・文化 趣味に死す!
の方が遙にわかりやすい。
おそらく、前回の作品がわかりやすすぎる、という非議でも受けたか、今回は難解すぎる。
これもさすがに受賞はないだろう。