わたしは新潮の方で読んだ。
先ほどちらっとAmazonレビューの方を見たらべた褒めだったので、高評価が読みたい人はAmazonレビューの方を参考にして欲しい。
正直、わたしは苦手な部類の作品である。数ページ読んで、10年以上前の芥川賞作品といった古くささを感じたが、なぜか舞台は2000年とやっぱり20年前。
文章が下手。ネタが断片的な哲学、&、掘っただの掘られただののゲイ話が多くて疲れる。
タイトルのデッドラインは修論の締め切りのことである。○○君という主人公は大学院生でゲイ。その周辺の青春? を扱っている。大学のゼミでは荘子とかドゥルーズとかを扱っている。なぜ主人公の名前を明示しなかったのだろうか? 存在論的要請なのだろうか?
わたしは小説家が哲学を囓ったのだろうと思って読んでいたのであるが、実際は哲学者が小説を囓ったらしい。
ゲイ、荘子、ドゥルーズ、存在論、これを一つにした壮大な精神世界を描こうという試みはなんとなく伝わってきた。が、あまりに断片的で、抽象的で、且つ論文的ですらある。思想が小説に昇華出来ていない。
この漠然ともわっとしたゲイの世界、それ自体が作品だというのであれば、デッドラインを過ぎた後を書くべきではなかったのだろうか。
HIVとかの心配のでてくるのであるが、いつの間にか消えてたり、Kとの友情もどうなったかわからず、小ネタの回収が出来ていない。登場人物が多すぎて読みにくい。
最後の最後で、修士論文の締め切りが迫り、父親の会社が倒産して、と物語は盛り上がりを見せるのであるが、そこで終わってしまうのだ。
これも、さすがに芥川賞はないと思う。現在三作品読んだが、この中に受賞作はないだろう。
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