にく無しである。
動物性の肉だけではない。
ニンニクも入れなかった。
Meat Free & Garlic Freeである。
具は玉葱、蕪&蕪の葉、人参、唐辛子、である。あとオリーブオイルだ。
というのも昼から人と会わなければならないのに、どうしても蕪のパスタが食べたくなってしまったのだ。
ニンニク臭をまき散らしながら会うのは憚られるので苦肉の策としてニンニクを入れないで作ってみた。ちなみに動物の肉を使わないことは多々ある。
味はパスタであった。しかし、あの舌に絡みつくようなニンニクの刺激はない。物足りないと言えばその通りだが、その代わり、野菜の味、オリーブオイルの香り、小麦の香り、唐辛子の刺激などがより鮮明な絵を口の中で描くのである。
野菜は予想通り激ウマであった。わたしは今回調理時に野菜には塩を振らなかった。麺を茹でるとき茹で汁に塩を大量投入して麺自体に塩味を付けるからだ。より一層野菜の味が引き立つ。浸透圧で野菜を破壊しないので、みずみずしさと歯ごたえも楽しめる。なによりべちょべちょにならない。
最初、これはなかなか行けるのではないか、と食べ進めてきたが、途中で飽きてきてしまった。それほど分量があったわけではないのに、箸を動かす馬力がへたってきた。
というのも、香りが如何に重要であるかを悟った。ニンニクパスタは一歩間違えれば犯罪的な香りが立ち篭めている。それは二階の寝室にまで届く匂いであり、10人いれば1人2人は不快に感じる匂いである。
しかし、ニンニク抜きパスタの香りというのは和食の香りであった。やさしく、あえかな、ほのかにオリーブオイルが香り、あとは野菜と小麦が放つ水蒸気のみ。
誤解を怖れずに言えば、米みたいな存在で、なんとなくおかずが欲しくなるような、白飯だけ食べていると飽きる、あれに似ている。
だから、本来なら無敵のマリアージュである粉チーズが全然あわないのである。白米に粉チーズをかけるような、トンチンカンな味になってしまった。
やはり、焼きうどんにするべきだったかも知れない。鰹だしと醤油をサッとかけた。
ニンニクパワーを思い知らされた一日であった。