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小説家 星香典(ほしよしのり)のブログ。小説、映画、ファッション(メンズフォーマル)、政治、人間関係、食い物、酒、文具、ただの趣味をひたすら毎日更新し続けるだけのブログ。 

神戸市議会の給与差し止め問題 法の不遡及の原則

headlines.yahoo.co.jp

 

この件に対して言いたかったので早めに更新する。

 

今回の条例改正には二つの点で問題がある。

 

まずは、「起訴される恐れのある職員」という不思議なワードだ。近代法法治国家では、起訴されても有罪にならなければ犯罪者ではない。

 

昔日本の司法制度は中世、と言われたが、こういう基本的な近代法概念がスポイルされているからである。

 

裁判でもっとも大切なことは、悪人を裁くことではなく、裁判そのものが法に則り正当に行われているかどうかを監視することである。

 

つまり極論すれば、刑事事件において裁判で裁かれるのは判事である。なぜなら、法を犯すことが出来るのは判事しかいないからである。

 

窃盗罪は以下のような条文である。

窃盗罪を犯した者は、刑法235条により、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる。

 

裁判において窃盗を犯した者、として有罪になったら、判事はこの範囲で刑を言い渡さなければならない。つまり、「死刑」とか、「罰金1億」とかにすれば、それは刑法違反である。逆に、有罪の者に対して無罪放免も駄目なのだ。

 

そして、もう一つ、窃盗罪の条文で注目して欲しいのは、どこにも、「窃盗をしてはいけません」とは書かれていないことである。これが近代法のミソなところだ。

 

そこで、「起訴される恐れのある職員」こんな滅茶苦茶な定義で給与を差し止められるなど考えられない。本来、裁判で有罪にならなければどんな悪人ですら法治国家の下では犯罪者ではないのだ。この条例は法の支配に見せかけた人の支配以外の何物でもない。

 

そしてもう一つ。記事の最後の方で、

「神戸市は新しい条例に基づき近く加害教諭らを処分して、給与を差し止める方針です。」

こっちはさすがに問題になると思う。これは事後法である。法令不遡及の原則に明らかに違反している。事後法とは悪名高い東京裁判で、今まで存在しなかった「平和に対する罪」なる法を拵えて、東条英機らを処刑したやつだ。

 

今回の条例で、仮にこれから新しく「起訴される恐れのある職員」の給与を差し止めることが可能になるとしても、この条例制定前の事由に対して本条例を適応することは不可能なはずである。

 

日本は近代法治国家ではないから、そんなの関係ねぇ、と言われてしまえばそれまでであるが。でも、日本だけではなく世界中で近代法概念はご都合主義によって踏みにじられている。

 

SNSやネットは社会をよい方向へ持っていっている面もあるが、それと同じくらい悪い方へも持っていっている。被害者には悪いが、今回の教師間イジメなどはどこの職場でも起こっているごくありふれた職場間イジメである。それが、動画が出回っただけで、庶民の感情が爆発し、議会が無駄に動き、法治国家のよき側面がガラガラと崩れようとしている。

 

条例とそれに対する付帯決議である。わたしに言わせれば、こんな付帯決議は恥の上塗りに過ぎない。

 

↓条例

http://www.city.kobe.lg.jp/information/municipal/giann_etc/H31/img/gianR01-95.pdf

 

↓付帯決議

http://www.city.kobe.lg.jp/information/municipal/giann_etc/H31/img/gianR01-95hutaiketugiann.pdf