文学・文具・文化 趣味に死す!

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父親 荒畑寒村 を読んだ。感想 レビュー

 

 ↑これに納められている。しかも、一番最初の作品だ。

 

荒畑寒村社会主義グループに属しており、投獄されたりしていた。その寒村を、父親の視点で書いた作品である。ということは、自分の反社活動が父親に迷惑をかけていたこと、そして、妻が献身的に支えてくれていたことを理解していたと言うことだ。

 

こんな革命家ありだろうか?

 

自分の革命活動を客観的に見て、客観的に心配したり否定したりする。そんな革命家はあり得ないだろう。

 

寒村は革命家になりきれなかった。だから、文学者になったのか、そもそもが文学者故に革命家になれなかったのか。

 

文学的思考というものは、徹底して物事を相対化して、客観化して、かつ、ぶっ壊して、再構築する作業がある。

 

その過程で、革命はすでに為されているか、現実の革命は意味をなくしている。

 

この作品がなんとなく後味悪く、かつパッとしないのは、そういった逡巡が作品のなかに持ち込まれているからかも知れない。

 

1915年の作品である。こういった作品を読むと、日本語や日本人の感性が、どこが同じでどこが違うのか、発見する楽しみがある。ほとんど同じなのだが。