文学・文具・文化 趣味に死す!

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天気の子 つまらなすぎ 1900円も払って観た

ネタバレ有り。

あと、天気の子が面白いと思った人も読まない方がいい。

 

 

どこから話すかな。by RADWIMPS 

 

わたしは君の名はに深く感動した。そして、その感動をもう一度味わえるかと、そうとう楽しみにしていたのだ。そんな期待に胸を膨らまして観賞した「天気の子」であるが、見事なまでにつまらなかった。

 

わたしが君の名はを大絶賛した記事はこちら↓

君の名は。を観た - 文学・文具・文化 趣味に死す!

 

天気の子は君の名はとは全く違う作品である。同じ作家の作品とは思えない。未成年の男女が出てくるくらいしか共通点はない。

 

「君の名は」は立派なSFであったが、天気の子はSFではない。

 

あらすじは簡単明瞭だ。

 

舞台は異常気象で雨が降り止まない東京。

 

ある日、天野陽菜15才(ヒロイン)は代々木の廃ビルの屋上の鳥居をくぐる。すると、雲の上の世界に出てしまう。気がつくと屋上の鳥居の前で倒れていた。以来、ヒナは念ずると晴れ間を生じさせる能力が備わる。

 

森嶋帆高16才(主人公)は離島で普通の暮らしをしていたが、離島暮らしが嫌になり東京に出てくる。所持金を使い果たしマクドナルドで困窮しているところを、バイトをしていた陽菜にハンバーガーをもらう。

 

陽菜は一年前に母親を亡くして生活が困窮している。金銭のために売春をしようとしていた。

 

売春業者と陽菜がホテル入ろうとするのを、陽菜が拉致されていると勘違いした帆高は救出のつもりで陽菜を連れて逃げる。だが、陽菜にしてみれば稼ぎを失った訳である。帆高は陽菜が金銭的に困窮していることを知り、陽菜のもつ晴れ間を生じさせる能力を利用して、「天気をつくる」という商売を思いつく。

 

商売は軌道に乗る。だが、陽菜はいわゆる天気の巫女で、晴れ間をつくることは出来るが、その代償として自らが消滅しなければいけない運命ということがわかる。

 

陽菜は自分が消滅すれば、この東京の異常な雨はやむ。自身の身と引き替えに晴れを生み出した。

 

帆高は陽菜のことが好きだったので、それに納得せず、永遠に雨が降り続いても良いから陽菜を取り戻す、と雲の世界に行き陽菜を地上に連れて帰る。

 

陽菜は地上に戻ってきたが、その代わり東京は永遠に雨が降り続けることになる。3年後、帆高は離島の高校を卒業して、陽菜と目出度く再会を果たす。

 

 

実に一直線なシナリオである。いつ物語がぐるっと回転して君の名はのような衝撃を得られるのかと期待していたら、そのままエンドロールに突っ込んでしまった。もうシナリオ全体としてつまらないので、細かく指摘する意味も無いのであるが、1900円失った悔しさである。

 

①君の名はではあれだけ凝りに凝っていた超常現象の由来が、「鳥居をくぐるだけ」と単純化されてしまっている。しかも、天気の巫女の伏線がインチキ臭い占いばあさんと、古い寺の住職の話だけ。

 

②帆高が離島から家出してきた動機。動機がよく分からないのである。なぜ、そこまで執拗に東京にとどまらなければならないのか。帆高は極めて良識的な人間であり、倫理的な人間である。そして、警察に捕まったあとは大人しく離島に戻り、高校を普通に卒業している。なぜ、東京に家出しなければならなかったのか、全く謎である。

 

③一番我慢ならないのがこれである。

東京の雨をとめる為には陽菜が犠牲にならなければならない。陽菜を助けると東京が水没する。東京を水没から救えば陽菜が消える。物語りによくある究極の選択である。両方を助けることは不可能に見える。

だが、普通の物語は、主人公の機転と努力によって、陽菜を助けてかつ東京を救う解を見つけ出してカタルシス、というはずである。

なのに、この物語、「東京なんてどうだっていい、陽菜がいれば!」というわけで、陽菜を助けて東京は水没する。観客を馬鹿にしてるのだろうか?

3年後、高校を卒業して、3年間、そして今日も雨が降り続いている東京に降り立つ帆高が昔の知り合いと交わす会話。

 

おばさん:「東京はもともと入江で、この辺はみんな海だったのよ」

帆高:「へぇ。昔に戻ったって訳ですね」

 

それでいいんかい?