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梟の城 司馬遼太郎 感想 レビュー

 

梟の城 (新潮文庫)

梟の城 (新潮文庫)

 

 

 

司馬さんの初期作品。まだ本格的な歴史小説を書く前かも知れない。

 

この作品は昭和34年の作品なので、かれこれもう60年も前の作品である。当時はまだ忍者が一般的ではなく、司馬さんが先鞭をつけた感じ。

 

今の時代感覚でこの作品を論じるのは相応しくないが、われわれはその後の司馬作品の偉大さを知っている分、どうしても辛口に見てしまう。

 

一言で言うと、ちょっとバカっぽい忍者活劇である。漢語の使い方がペダンチックだという指摘もあるが、わたしはむしろしっかりと難しい熟語を使っているからまだ救いがあると思う。

 

これを誰もが読みやすい平易な文章で書いたら単なる古めかしいライトノベルである。

 

とくに、女の書き方とかはやばい。マッチョリズム丸出しで、男が読んでもちょっと引く。高度経済成長の父権的な社会ではこれが受けるのだろう。

 

これが直木賞蒼穹の昴が落選なのだから、浅田次郎がショックを受けたのもよく分かる。

 

はっきり言って、これを読むくらいなら真っ当な司馬作品を読んだ方がいい。どうしても、忍者活劇が読みたいというのなら止めぬが。