複数の著者が項目ごとに書いている。どのような項目があるかというと、枕詞、序詞、見立て、掛詞、縁語、本歌取り、物名、折句・沓冠、長歌、題詠と10章に別れている。
わたしのような初学者にはまさに目から鱗であった。和歌の奥深さをちょっと覗いた気がした。このような文化を持つ日本は素直に凄いと思う。
↓ここでも和歌のルールを用いて説明をしている。
かな書 袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ - 文学・文具・文化 趣味に死す!
日本とはなんぞや、とは非常に難しい問いである。例えば飛鳥時代などは暗殺三昧。平安時代には和歌や文学のような良い意味で女々しい文化が花開き、戦国時代や明治から昭和初期などはサイヤ人も裸足で逃げ出す戦闘民族であった。
日本の本質はこの二面性ではなかろうか。残忍さと情け深さ、勇猛さと優柔さ、大胆さと繊細さ、男と女、陽と陰。
戦国時代や幕末維新、太平洋戦争など陽の部分というのは目立つ。が、もう一つの日本、陰の部分、この本に書かれているのは、陰の日本である。
もし本屋で手に取ったら、おわりに、の部分を読んで欲しい。小町の歌が乗っている。
花の色はうつりにけりないたずらにわが身よにふるながめせしまに
意味は、「花が色あせるように、わたしも時間の経過とともに老いた」
だがそこに、経る、降るの掛詞。ながめ(物思いに耽る)長雨の掛詞。降ると長雨は縁語。が埋め込まれている。
すると、歌の後ろに映像が浮かび上がる。叙情と叙景がひとつの歌に込められており、それらを同時に味わうことにより得も言われぬ感覚に陥る。