うちの五歳児が「うもべし、うもべし」と言っていた。
なんのことかと思ったら梅干しのことだった。
丁寧に、母音と子音が入れ替わっている。
ばかなだけあってばかすぎばかおの動画が大好きだ。
「ねぇねぇ、ばかすぎばかおって超ばかなんだよ。自分の名前にカレーってかいたんだよ」
と嬉しそうに話しかけてきた。
「え、じゃ、おまえカレーって書けるの?」
「……え」
「ひょっとして書けないの? じゃ、ばかすぎばかおよりばかじゃん」
「……」
「ばーかばーか」
「書けるよ!」
どうにか「カ」は書けた。ひらがなは書けるので、カはひらがなと同じだと知っていたらしい。だが「レ」が書けない。
五歳児は困ったようににやにやしながら、
「こう?」
と恐る恐る書いて見せてきた。
それは「ル」だったから、
「ばーかばーかばかすぎー」
とからかっていたら泣いてしまった。
あと数年もすればこんなやりとりも児童虐待と判定されるのだろう。