衷とは文字通り、衣の中であるので、下着。転じて心という意味である。なので、折衷とはその心の部分をそれぞれ取り出したものである。和洋折衷なら、和のよい部分と洋のよい部分をとりだして折り合いをつけたものという意味である。
先日、某レストランのコース料理で、大変不思議なものが出てきた。
前菜はジュレサラダ。もちろん、わたしはフレンチを想像していた。
だが、次に置かれたのは醤油皿である。醤油が入っていた。はてな? これはなんぞや、配膳係に聞くと、「お刺身の盛り合わせがでます」とのこと。はてな? である。
なんでお刺身の盛り合わせが出るの? と訊ねれば、和洋コースだという。
初めてであった。
本当に刺身の盛り合わせが出た。
次、魚介のサフラン煮。洋食である。
次、ステーキ。わさびで食べるようになっていたが、おそらく洋食である。
次、蕎麦。
おい。
デザートは、カシスかなにかのムース。ちょっと酸味が利いていて蕎麦とはまるで合わない。
もちろん、コーヒーがでる。蕎麦&コーヒー。刺身の盛り合わせ&コーヒー。
なんかもう前衛芸術だった。
普通にパンを出して欲しい。そして、刺身の盛り合わせも要らない。
つまり、和の部分はいらない。
もしくは、コーヒーとムースではなく、わらび餅と抹茶にしてくれ。
誰が考えたやら。
海原遊山に食わせたかった。