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戦場のレビヤタン 第160回 芥川賞候補作品 感想 レビュー

 

 

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民間軍事会社の社員が、中東の石油プラントの警備につく話。

設定はかなり萌えるのであるが、ドンパチはほとんどない。

心に空虚を感じる人間が、中東の戦場に赴く、その機微を描いている。現代的なテーマ設定である。

前回レビューした町屋良平の 1R1分34秒にも言えることなのであるが、ここまで語ってしまっていいのかと首をかしげてしまう。

確かに、戦場にいることの緊張や、死と隣り合わせ生、を語るのは結構なのであるが、すこし露骨過ぎはしないだろうか。

せっかく小説という形態をとっているのであるから、その思いを物語の中に組み込まなければ、総括みたいになってしまう。小説と言うよりも、紛争地域のプラント警備の総括、みたいな感じになってしまっていないだろうか。その総括が面白ければいいのであるが、結構読むのに苦労する。

レビヤタンとはリバイアサンのことである。聖書に出てくる怪物である。この関係も今一つピンとこなかった。

ただ、この小説はひょっとすると受賞する可能性がある。テーマが現代的であるからである。小説において、とくに芥川賞において、同時代生というのは非常に重要なファクターである。今だからこそ書ける小説、書く価値がある小説、この作品は現代人の心を上手く描いていると言える。

もう残り二作を読む時間はないと思うので、わたしが読んだ四作で受賞する可能性が高い順から予想すると、

 

ニムロッド > 戦場のレビヤタン >  1R1分34秒 >  ジャップ・ン・ロール・ヒーロー

 

となるだろうか。確か来週が発表である。楽しみだ。

 

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文學界 2018年12月号

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