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「生産性」のないLGBTに税金は投入すべきではないか

yoshinori-hoshi.hatenadiary.jp

 

昨日の杉田水脈議員の問題にひきつけて、「生産性」のないLGBTに税金を投入すべきではないかどうか考えてみたい。

 

国家には夜警国家だとか福祉国家だとかリベラリズムとかリバタリアンだとか、いろいろとらえ方があるが、大別すれば積極的は消極的かの違いだ。

 

消極的な国家は必要悪で、警察権などは共同管理にするが、できる限り個人の生活に国家は関与するな、という発想。だから、医療保険なんかとんでもない。なんでオレがどこのどいつかわからんやつの医療費を払わなければならないんだ、という話になる。この立場に立てばLGBTどころか、赤の他人カップルの不妊治療費をなんで税金で払うんだということになる。

 

積極的な国家は「おれたち国民、国民は仲間、おれたちの国を力合わせてすげー国にしよう」という発想。つまり、税金の投入は富国強兵のためで、投資よりもリターンが多いものにこそ税金を投入すべし、という発想。杉田議員はおそらく、この発想でLGBTに税金を投入してもリターンがないので無駄だと考えたのだろう。

 

ただし、ここからが複雑で、リターンとはなにか、という問題になる。税金は「マネー」なので計れるが、リターンは様々なものになる。例えば価値、幸福、安全、文化、こういったものはマネーとは同じ天秤にかけられないのである。

 

だからリベラル派などは、リベラル的政策を擁護するために、高福祉国家は国民の一体感が上がりその結果生産性や工業性が高まり一人当たりGDPが上昇する。などと無理矢理マネーの土俵に乗せるが、「ならGDPが下がればリベラル的施策は駄目」ということになりかねない。

 

自由、平等、差別のない社会、国境なき自由経済、これらは人類の憧れであった。その憧れに近づくことによって、国家や政治家は尊敬という名誉を受けていた。だが、本当にそれらの価値は価値あることなの? という疑問が多くの国家に生まれているのが昨今である。

 

わたしは国民国家は解体の流れにあるのだと思う。ポスト国民国家がどのような共同体になるのかはわからないが、もはや、同じ域内に住んでいるだけで仲間だ、というのは100年のスパンで考えればあり得ないだろう。日本はまだ想像しにくいが、日本にすら沖縄問題がある。沖縄独立だって選択し次第では十分にあり得る。

 

LGBT支援もなにを支援しているのかわからない程度なら問題は起きないが、同じ国民であるという認識が薄れた中で、高額の税金が投入されるLGBT施策などが行われれば、ヘイトの対象になりかねない。例えば在日特権に対する問題のように。杉田議員は価値観の多様性が国民国家の解体に繋がるのを嫌がっているのだろう。

 

ここからは試論であるが、国民国家が解体しているからこそ、多様な価値観が噴出しているとは考えられないだろうか。つまり、戦争をすることもなく、自国内で経済を回すでもなく、金持ちや企業がタックスヘイブンに逃げるような世の中で、どうやって国民国家を意識すればいいのか、だれがわかるだろうか。天皇の退位問題もその一つで、我々は本来、人間が変えることができないとされていた一つの神聖なるものを、人間の手で変えてしまった。これは国体護持に反することではなかろうか。

 

 

新潮45 2018年08月号

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