先日、某パターンオーダーが出来る店(もちろん、いろいろな種類の麻を扱っている)に行って、麻のスーツでも作ろうかな、と定員に話したところ、定員が、
「麻でスーツですか? 麻のズボンなんてチクチクしてはけたもんじゃないし、しわしわになっちゃって大変ですよ。お勧めしませんね」
などと言う。
定員は麻のスーツを着たことがあるのだろうか? 麻がチクチクするなどというのは完全な誤解である。ランジェリーの語源はリネンである。
定員は麻と聞いてヘンプを想像したのではなかろうか?
麻には主に三種類あって、リネン、ラミー、ヘンプである。リネン製品はユニクロなどでも山のようにあるので触ってみるといい。チクチクするかどうか、下着を着ないで着てみれば一触瞭然である。
ラミーは小地谷縮などの麻だ。わたしは小地谷縮を愛用しているが、全くチクチクしない。ヘンプは綱引きなどの綱である。麻縄である。ヘンプの服は着たことがないのでわからないが、チクチクするのかも知れない。
洋服店の店員が全員洋服に詳しいわけでもないし、好きなわけでもない。博識な店員と話すのは勉強になるし、楽しいのだが、物事をよくわかっていない定員と話すのは実に疲れるし買う気が起きない。
私はもちろん麻のスーツを持っている。昔の日本人は麻のスーツを何着か持っていて、洗いながら着たという。麻がチクチクすると言うのは全くの偏見であるが、しわしわになるのは事実である。
麻の皺は着皺なので、デニムのアタリのようで格好いいのだが、スーツは皺にしないという見解が蔓延しているせいで、たまに皺を馬鹿にされる。
麻のスーツ。お勧めである。持ってない方は是非とも所有することをお勧めする。日本で麻のスーツを逸らそう!