面白いのか、シュールなだけなのか、わからないが、すごい作品であることは間違いない。
文学の勢いというか、文学でしか表現できない世界というものを遺憾なく発揮している。
特に性を書く。レズ、ホモ、ドラック、処女、オナニー、普段我々が上辺だけ語って通り過ぎるものを、深く追求している。コメディ調で。
こんな世界があるわけがないのであるが、ものすごくリアルに世界を想像できる、小説の骨のような部分を感じる。
野坂昭如というと蛍の墓と、テレビで暴れ回っているイメージなど、不思議な人間という印象を持っていた。この作品はそういう不思議な人間でないとかけない。