なんと、葉室麟氏が亡くなった。驚きである。ちょうど蜩ノ記を読んでいたところだ。まだ序盤だが文章も人物もしっかりして読み応えのある作品である。
なぜ、葉室氏の作品を読もうかと思ったかというと、人生に、文学をを観たからである。
所詮、われわれ現代人が江戸時代や戦国時代の人間のメンタリティなど、憶測するしかないわけである。文献からどのように読み解くか、その読み解き方で、様々な解釈が可能なのだ。氏の歴史観、歴史上の人間観が実に興味深く、作品を手に取った次第である。
五十四歳でデビューして12年。六十作の作品を残したという。すごい執筆ぶりである。
我々は歴史小説を読んで、過去の歴史や時代を認識しがちである。司馬史観なるものがあるように、歴史作家の影響力というのは絶大である。
ご冥福をお祈りする。