ハーラン・エリスンのクロウトウンを読んだ。
ヒトラーの描いた薔薇で頭にハテナマークが浮かび上がりまくったので、「地下に広がる神話的迷宮世界を描いた傑作『クロウトウン』by解説」を読んでみたくなったのだ。
なんとなくハーラン・エリスンの魅力が分かった気がする。
以下ネタバレ
本作も荒唐無稽だが、その世界の雰囲気、文体、質感、そういうものが素晴らしい。
内容は本当にくだらない。
女とやりまくりの男が、また女を孕ませて、掻爬する、というところから物語は始まる。掻爬したものをトイレに流すのだが、女がそれを拾ってこいと無理難題を押しつけられ、とりあえずマンホールの中に入る。すると、そこには乞食やワニや地底人がいる、というお話し。
こう書くと身もふたもないが、マンホールの話だけに蓋はある。文体が秀逸なのだ。
例えば、マンホールを開けたときの文章。
「マンホールの口から、汚れた都会のにおいがたちのぼってくる。ひんやりと冷たい、うち捨てられた風。鼻毛がむずむずし、僕は顔をそむけた」
等である。
短編集なので、まだまだ話は入っている。楽しめる一冊。