1楽章の長い前奏は最高である。わくわくさせられる。なのに、多くのCDでは前奏は見窄らしい形にカットされている。商業主義による音楽への侵略である。
というか、この映画のパガニーニは馬鹿すぎ。イギリス女に本気で惚れたり、髭のおじさんに操られたり、確かに、芸術家的主人公としては映画映えするかも知れないけれど、度が過ぎれば興醒めである。
音楽の美しさ、超絶技巧の見せ方などは大変面白く、ヴァイオリンに興味のない人が観ても楽しめる。
重音(一度に二本の弦を弾く)は素人には大したことないように見えるが、あれは超絶技巧なのだ。短音ですら音程がままならないヴァイオリンなのに、重音で正確な音程をとる。誰が弾いているか分からないが、実に見事な演奏であった。