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ミスター・ノーバディを観た

 

ミスター・ノーバディ [DVD]

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面白かったか、つまらなかったか、と問われれば、面白かったと答えよう。ただし、この作品は文学的、哲学的作品であって、エンターテイメント的なおもしろさはない。意味不明な作品なのだ。だから、こちらが猛烈に想像力と読解力を駆使しなければならない。

人生に於ける多様な分岐、可能性、というのが主題なのだろう。しかし、様々な設定が付加されている。たとえば、人類は死なない時代で、ミスター・ノーバーディが最後の死ぬ人間。ほかにも、宇宙収縮が始まり、時間が逆行する、など。

この作品のサブテーマは、いや、むしろこっちが本筋か、「時間と宇宙」である。ノーバーディの多様な可能性は、宇宙の膨張の過程で起きる、様々な宇宙の存在であり、死なない人間たちは、宇宙の時間のメタファー。その死なない人間たちも、時間の収縮と共に消滅する。宇宙も収縮してなくなる。

ならば、この世のすべては、文字通り、宇宙の呼吸に過ぎない夢幻そのものである。そんな気がしてくる映画だ。通常版も長いが、ディレクターズカットのインポート版はもさらに長く、でも、そちらの方が内容が分かりやすいようである。