abさんごは芥川賞を取ったときに1ページ読んで挫折した作品だ。読めば分かるが読みにくい。漢字のない文章があんなにも読みにくいとは、ある意味新しい発見である。
日本ペンクラブのyoutubeを最近よく聞いていて、その中で黒田さんの講演があった。あのひらがなばかりの理由は、意味を固定させないためだという。
このブログでも前に触れたが、例えば、「きく」という言葉があり、「聞く」と書けば受動的、「聴く」と書けば能動的意味となる。しかし、日本語の「きく」は「きく」以上でもなければ以下でもない。日本語の広がりを味わうには、本当は漢字でない方が良いのかもしれない。
会話も同じことで、われわれは漢字で会話をしているわけではない。文学のある種の本質を考えたとき、ひらがなというのは大いにアリだと思った。ので、abさんご、気合いと根性で読むぞ。