最近映画ばかり見ている気がする。
映画は癒やしである。小説も癒やしのはずなのであるが、映画は2時間で終わるので手軽。久しぶりに小説を読みたい今日この頃。
現実と幻覚の差を視聴者に錯覚させる、非常に面白い作品。以下ネタバレ含む。
天才数学者、ジョン・ナッシュは国防省の暗号解読の仕事を授かる、という幻覚を抱いている。だが、視聴者は誰もが最初、それが幻覚であるとは分からない。つまり、視聴者もナッシュと共に幻覚を現実と信じる。
治療の末、ナッシュは幻覚を幻覚と認識するが、幻覚は消えないのである。消えない幻覚を視聴者も一緒に見るという構造。
ネタばらしをすると、ジョン・ナッシュはノーベル経済学賞を取ったあのジョン・ナッシュである。実は伝記映画でもあるのだ。
ジョン・ナッシュの名前は知っていた。ゲーム理論でおなじみのナッシュ均衡のナッシュである。ナッシュ均衡がなんだかは知らないが、わたしは幻覚ならぬ衒学家なので、均衡と言えばすむものをわざわざナッシュ均衡と言ったり、最適化と言えばいいものをわざわざパレート最適化とかほざいている。
映画の中でのあまりの狂いっぷりにまさかナッシュ均衡のナッシュだとは気がつかなかった。しかし、最初のほうでアダムスミスの話やら、図形やらを書いているので、見る人が見れば一発で気がつくのだろう。