21 芸術について
ペンの光 2015年9月号 色無しと人や見るらむ昔より深き心に染めてしものを 源能有が中納言になった藤原国経に送った歌。 どうやら、無地の織物を送るときに添えた歌らしい。本来は布に色を染めるのだが、染めていない。だから、無色に見えるが、 「おまえな…
ペンの光 2015年九月号 海ひかり麦の穂ひとつづつ光る と書いてある。 詠み人は水野淡生。 ググったがあまり情報がなかった。 先日、渋谷の伊東屋に行ったと書いたが、なにを買ったかと言えば、メモノートと鉛筆である。九歳児が鉛筆を使っていて、その鉛筆…
ペンの光 2015年 11月号 伊藤左千夫の歌。 美しい歌である。 柿の葉は阿呆みたいに振ってくる。それが地面に積もり厚みをおびているさまがよく歌い上げられている。 今回は字母で書いてみた。 四行目の「の」が普通のひらがななのはご愛敬と言うことで。 ペ…
ペンの光 2015年11月号より 1780年に没した三浦樗良の作品である。 けふの月とは中秋の名月のことらしい。 風が強い中、ススキだろうか、草むらの向こうから満月が上る。正に、詩的な光景である。 万年筆はシェーファー、デルタグリップ。 この万年筆は鉄ペ…
ペンの光 2016年3月号 思はぬに わが足もとゆ まひ立ちて 浪を越えつつ 千鳥啼くなり わが足もとゆ、の「ゆ」は聞き慣れないかも知れない。 「から」という意味である。 突然、足元から飛び立った千鳥が、浪を越えながら啼いている。 「ゆ」には経由点の意味…
ペンの光 2016年3月号より 春なれや名もなき山の朝霞 芭蕉の句である。 春なれや。美しい。春なり、に詠嘆の「や」がつく。「春なれば」に「や」がついて、「ば」を略したとかなんとかも聞いたことがある。 春なれや。 訳し方は二つあって 「春になったなぁ…
ペンの光 2017年1月号より はなすすき風になびきて乱るるは結びおきてし露や解くらん 花すすきとはススキのことである。 そのススキについた水滴が、風を受けて舞う。わたしにはこの水滴が、光を浴びながら飛ぶ、そんなイメージが浮かんだ。じつに美しい歌で…
ペンの光 2017年1月号より 向井去来の句である。 もともとは、 木枯らしの地まで落とさぬ時雨かな であったが、芭蕉に添削されて、 地にも落とさぬ に変わったという。 このサイトに詳しく書いてあった。 凩の地にもおとさぬしぐれ哉(去来): 古典・詩歌鑑…
ペンの光 2016年4月号の課題。 むらぎもの心楽しも春の日に鳥の群がり遊ぶを見れば 良寛の作である。 むらぎもの心楽しも春の日に鳥の群れつつ遊ぶを見れば というのもあった。 群がって遊んでいるのと、群れつつ遊んでいるのではちょっとイメージが違う。 …
わたしは去年までペン習字をやっていた。ペンの光というものである。 美しい文字や、綺麗なはがき、などというのは、おそらく、ほとんどの人が見て、綺麗であると認識できるはずである。 しかし、ペンの光には「かな部」という分野があり、かな書、とか、か…