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アバウト・タイム ~愛おしい時間について~ を観た

 

アバウト・タイム ~愛おしい時間について~ (字幕版)

アバウト・タイム ~愛おしい時間について~ (字幕版)

  • 発売日: 2015/04/10
  • メディア: Prime Video
 

 

 

急に恋愛映画が観たくなって、おすすめ恋愛映画でググったら出てきたので観た。プライムだし。

 

だがしかし、これは恋愛映画なのだろうか? わたしにはむしろ父と子の物語に思えてならない。

 

ネタバレ注意

 

主人公の家系には不思議な力が宿っている。それは、過去に戻れるという能力である。戻れる範囲は自分の記憶にある過去である。主人公はこの能力を用いて好きな子と結婚するという内容。

 

しかし、でかい問題はなにも起こらない。父親もこの能力もっているが、その使い道は読書の時間に用いるだけで大きなことはなにもしない。そもそも、この映画の結論は過去になど戻らなくても人生は素晴らしい、ということをいいたいのだ。つまり、過去に戻って何度でも失敗をやり直せる、などはオーバースペックでしかないのである。

 

とまぁ、いろいろとケチを付けたが、2時間楽しむなら十分な映画だと思う。イギリス映画というのがいい。おなじ英語圏でもアメリカとはまた違った趣がある。

 

わたしはタイムリープものが好きで色々観てきたが、この映画ほどタイムリープが脇役なものは観たことがない。タイムリープなどと言う超弩級の技を、ほんの小技にしてしまうと言う意味においては、なかなか参考になったかも知れない。

哀愁の町に霧が降るのだ 椎名誠 を読んだ 感想 レビュー

哀愁の町に霧が降るのだ

 

哀愁の町に霧が降るのだ (上) (小学館文庫)

哀愁の町に霧が降るのだ (上) (小学館文庫)

  • 作者:椎名 誠
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2014/08/05
  • メディア: 文庫
 

 

もともとは上中下であったあが、文庫では上下巻である。


椎名誠の中学校時代から昭和57年ごろまでの自伝小説である。椎名誠昭和19年生まれなので38歳までということになる。どこまでが実話でどこからが作り話だかよく分からない。

 

主に克美荘というアパートで友人と今風にいうとシェアハウス的な生活を送っており、その顛末がかなりの枚数を占めている。

 

そういう時代だったのだろうが、喧嘩ばかりしているのにはかなり参った。欽治という不良が主人公のことを気に入らないと言っている、という伝聞をもとに、いきなり欽治を後ろから蹴り倒しぼこぼこにするとか、総武線で目が合っただけで喧嘩をふっかけて、そのあげくに歯を三本折られるとか、酒がなくなったから酒屋に侵入して窃盗を犯すなどは、どん引きである。

 

椎名氏は、なぜそんなことでキレるのか? というほどキレる。あと、出会う人間に悉く悪意を抱くのである。わたしはそう言う主人公の性格におぞましさすら感じたのである。わたしは最近、なにかでその感覚を味わった気がした。思い出してみると、それはあの宮崎文夫容疑者に大して感じたおぞましさに似たものであった。

 

 

 

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現代の価値観で読んではいけないということは分かっているのであるが、歴史物のようにも読めぬ。時代はすぐそこで振り返ればまだ視界のうちなのだ。読んでいてなんども顔を顰めてしまった。

 

あと、評論家の言として、この小説が太宰と似ていると書いているが、太宰とは似ても似つかぬと思う。もうどこも一つも似ていないのであるが、なかでも最も似ていないところはこの小説が冗長だという点である。若者の青春をリアルに描いたといわれればそうなのだろうが、うだうだうだうだ堂々巡りが繰り返され、ほぼ毎日同じようなことばかりしているのである。

 

なら、つまらないかといえばそうでもないのである。なんだかんだで投げださずに最後まで読んでしまった。観たくないが興味が引かれ、薄目を開けて思わず観てしまう、そんな不道徳的な作品なのである。

 

見たくはないのに興味が惹かれ気にせずにはいられない。その点も宮崎容疑者を彷彿とさせるのだ。

 

にく無しパスタ! を作って喰った。

にく無しである。

動物性の肉だけではない。

ニンニクも入れなかった。

Meat Free & Garlic Freeである。

 

具は玉葱、蕪&蕪の葉、人参、唐辛子、である。あとオリーブオイルだ。

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というのも昼から人と会わなければならないのに、どうしても蕪のパスタが食べたくなってしまったのだ。

 

ニンニク臭をまき散らしながら会うのは憚られるので苦肉の策としてニンニクを入れないで作ってみた。ちなみに動物の肉を使わないことは多々ある。

 

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味はパスタであった。しかし、あの舌に絡みつくようなニンニクの刺激はない。物足りないと言えばその通りだが、その代わり、野菜の味、オリーブオイルの香り、小麦の香り、唐辛子の刺激などがより鮮明な絵を口の中で描くのである。

 

野菜は予想通り激ウマであった。わたしは今回調理時に野菜には塩を振らなかった。麺を茹でるとき茹で汁に塩を大量投入して麺自体に塩味を付けるからだ。より一層野菜の味が引き立つ。浸透圧で野菜を破壊しないので、みずみずしさと歯ごたえも楽しめる。なによりべちょべちょにならない。

 

最初、これはなかなか行けるのではないか、と食べ進めてきたが、途中で飽きてきてしまった。それほど分量があったわけではないのに、箸を動かす馬力がへたってきた。

 

というのも、香りが如何に重要であるかを悟った。ニンニクパスタは一歩間違えれば犯罪的な香りが立ち篭めている。それは二階の寝室にまで届く匂いであり、10人いれば1人2人は不快に感じる匂いである。

 

しかし、ニンニク抜きパスタの香りというのは和食の香りであった。やさしく、あえかな、ほのかにオリーブオイルが香り、あとは野菜と小麦が放つ水蒸気のみ。

 

誤解を怖れずに言えば、米みたいな存在で、なんとなくおかずが欲しくなるような、白飯だけ食べていると飽きる、あれに似ている。

 

だから、本来なら無敵のマリアージュである粉チーズが全然あわないのである。白米に粉チーズをかけるような、トンチンカンな味になってしまった。

 

やはり、焼きうどんにするべきだったかも知れない。鰹だしと醤油をサッとかけた。

 

ニンニクパワーを思い知らされた一日であった。