↑に収められている。5つの温泉宿を舞台とした男女の物語り。
妻と旅行に行く予定だったのであるが、妻が急に行きたくないと言い始める。その理由は、男が仕事ばかりにかまけていて、家庭を顧みないから。
そんな男の仕事は保険であり、友人知人を片っ端から加入させていくやり手。しかし、そのやり口に本人も嫌気がさしていて、旅行で黙想にふける。そんな旅行先で女経営者と出会いロマンスが始まるのか、というところで終わる。
だれでも、自分の仕事に疑問を持つことがあるかもしれない。果たしてなんのために働いているのか。自分の仕事は客のためになっているのか、社会のためになっているのか。ふと放り投げたくなる瞬間がある。その瞬間を、ひっそり閑とした森の中を吹き抜ける風に感じるうら寂しさ、覚束ない心を描き出している。
↓おきまりであるが、こっちで読んだ。
日本文学100年の名作第10巻 2004-2013 バタフライ和文タイプ事務所 (新潮文庫)
- 作者: 池内紀,松田哲夫,川本三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/05/28
- メディア: 文庫
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